リモートワーカー①  3人のお子さんを育てながらパソコンやスマホで仕事をこなす女性をご紹介。

パソコンを使うことでさまざまな仕事ができるようになった現在、オフィスに行かなくても、自宅やカフェなど、自由な場所で自由な時間に仕事をする「リモートワーク」が可能になってきています。

そこで、今回から、この新しい働き方を実現している、リモートワーカーの皆さんをリポートしていきます。

登場するのは、子育てをしながら在宅で働く女性や、叶えたい夢を持つ女性たち。なかには、海外にいながら働く人もいます。子育てや住む場所といった問題を軽々と飛び越えて、いつでもどこにいても自分の能力を磨き、マイペースで仕事を続ける。新しい働き方で自分らしい生き方を実現している皆さんをご紹介します。

家族との時間を大切にするために、会社を辞めてリモートワークを選択

ご主人と3人のお子さんとともに毎日食事をするダイニングテーブル。そこを仕事場にして、在宅で仕事をしているのが岡川佐知さん(東京都)です。仕事の内容は、翻訳や企業がSNSで発信する投稿の原稿執筆やプロジェクトの管理業務など。クライアントや他のスタッフとの連絡にはメールやチャットを使い、顔を見ながら話をしたいときは、ビデオ通信アプリで意思疎通を図っています。

岡川さんが、リモートワークを選んだ理由は、「家族優先」の暮らしのためだといいます。その大きなきっかけとなったのが、2011年に発生した東日本大震災。子どもが小さいうちは、できるだけそばにいて安心のできる暮らしをしたいと考え、勤めていた会社を退職しました。さらに、ご主人の仕事の関係で海外転勤をした時、慣れない環境で過ごす家族を自分がサポートしてあげたいという思いが強まり、パソコンを使って在宅でできる仕事を探し始めたのだそうです。

子育て中でも、自分の能力を活かし、新しい仕事にもチャレンジ

在宅で働く仕事を探しはじめたのは約5年前。その頃は、デザイナーなど専門職の求人ばかりで、外資系企業で秘書業務や事務をしていたご自分の経歴を活かせる仕事は、どんなに探してもなかったのだそうです。しかし、2年くらい前から、リモートワークを取り入れる企業が増加。それとともに、求められる人材の幅が急速に広がり、事務経験者が活用されるようになってきました。

リモートワーカーを募集している企業から、仕事を受け始めた岡川さん。まずは、英語力を活かして翻訳の仕事を開始。さらに、経験したことにない新しい分野にもチャレンジし、企業がSNSで発信する投稿の原稿執筆の仕事もスタートさせました。

家でも外出先でも仕事が続けられる。暮らしと仕事が自然に融け合ったライフスタイルを実現

お子さんのそばにいたいという気持ちで始めたリモートワーク。そのため、仕事をするのは、フルタイム勤務より少ない1日に4~5時間程度にご自分で調整しています。仕事をするかたわらでお子さんが遊んだり、宿題をしたりすることが、岡川家の暮らしのスタイルとして定着。お子さんのお稽古ごとに付き添って外出する時も、スマホで仕事のメールをチェックする体制にしているので、外出先でも途切れることなく仕事をすることができます。

リモートワークにしてよかったことは?と聞くと、「育児だけでなく家事にも余裕が生まれたこと」だと教えてくれました。以前は1週間分のまとめ買いをしていたのが、今では毎日買い物に行き、新鮮な素材や旬の素材を買えるように。日々のメニューを考えることや料理が楽しくなり、暮らしがより充実してきたそうです。

リモートワークを初めて約2年。担当する仕事の中で、最近増えているのが、起業したばかりの小さな企業からの依頼です。従業員を雇う代わりに、岡川さんのようなリモートワーカーに仕事を頼むというケースが増えているのだそうです。働く場所は離れていても、夢を持ってスタートした企業のサポートになることは、大きなやりがいになるのだとか。社会の役に立っている喜びや、一緒に成長できる楽しみがあると言います。

ライフステージに合わせて、働き方を次々とチェンジ!マイペースで働けるリモートワークは、育児中だけでなく、老後の仕事としても可能性大。

在宅で働くスタイルにより、育児と仕事の両立を図っている岡川さんですが、育児が一段落したら、再び勤めに出たいという希望も持っています。また、人の寿命が100歳近くに伸びると言われる中、老後も働くことが可能であり、その時に無理なく働ける仕事として、再びリモートワークを選びたいといいます。

時代はどんどん変わって、リモートワークで行う仕事の領域や方法も、いずれ変わるかもしれません。その時にも、リモートワークで自身の能力を発揮できるよう、仕事のスキルや経験をこれからの人生で身につけたいと岡川さんは考えています。